○コラム

令和6年度「全国労働衛生週間」が10月に実施されます

全国労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など労働衛生に関する国民の意識を高め、職場の自主的な労働衛生活動を促して労働者の健康を確保することを目的に毎年実施されています。

毎年10月1日から7日に実施される全国労働衛生週間に向けて、職場ではスローガンが入ったポスターなどが貼られていることも多いでしょう。ポスターはあるものの、具体的には何をするのか不明という方もいるのではないでしょうか。

この記事では全国労働衛生週間とは、令和6年度の概要、準備期間(9月1日~9月30日)に実施する事項、全国労働衛生週間中(10月1日~7日)に実施する事項について詳しく解説します。

 

全国労働衛生週間とは?

全国労働衛生週間は、労働衛生意識と管理の向上を図るもので、昭和25年に第1回が開催されて以降、令和6年度10月の開催で第75回を迎えます。

全国労働衛生週間は自主的な労働衛生管理活動の大切さを見直す機会となるため、建設業や製造業などで働く人はもちろん事業を行っている人も含めて、より安全を意識する期間となるでしょう。

 

全国労働衛生週間と全国安全週間との違い

全国労働衛生週間と7月に実施される全国安全週間との違いについて整理します。

・全国労働衛生週間:労働衛生意識と管理の向上
・全国安全週間:労働災害の防止

どちらも働く人を守るという点では共通しているのですが、全国労働衛生週間は労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の意識を高め、労働者の健康を確保することが主な目的となります。一方、全国安全週間は労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を図ることが主な目的となります。

その他、全国労働衛生週間では職場環境の改善や健康診断の受診促進、ストレスチェックの実施などが行われる反面、全国安全週間では安全管理や教育の徹底、危険予知訓練などが行われます。

 

令和6年度の概要

ここでは、令和6年度の概要について見ていきましょう。

 

趣旨

労働衛生分野では高年齢労働者をはじめとした労働者の健康管理、過労死等の防止を含めた長時間労働による健康障害の防止対策やメンタルヘルス対策、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援をサポートする仕組みを整備するのが主旨です。

化学物質対策では特定化学物質障害予防規則、石綿障害予防規則などの関係法令に基づく取り組みの徹底を図るとともに、各事業場におけるリスクアセスメントとその結果に基づくリスク低減対策の実施を促進していくのが主旨となります。

 

スローガン

令和6年度の全国労働衛生週間のスローガンは「推してます みんな笑顔の 健康職場」です。

「働く上で基本となる健康の確保を推進することによって誰もが笑顔で快適に働くことのできるような愛される職場づくりを目指していく」という思いが込められています。

 

期間

開催期間は10月1日から10月7日までとされています。

期間中は各職場にて、職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、さまざまな取り組みを展開します。

なお、全国労働衛生週間の実効を上げるため、9月1日から9月30日までが準備期間となり、この間も様々な取り組みを行います。

 

準備期間(9月1日~9月30日)に実施する事項

ここでは、準備期間(9月1日~9月30日)に実施する事項について見ていきましょう。

 

過重労働による健康障害防止対策

全国労働衛生週間では、過重労働による健康障害防止対策が実施されます。具体的には、時間外労働などの削減やワークライフバランスの推進などが主です。

 

職場におけるメンタルヘルス対策

職場におけるメンタルヘルス対策も、全国労働衛生週間の一環です。心のケアを行うための産業医に相談しやすい環境づくり、ストレスチェック制度の適切な実施などを促進します。

 

職場における転倒・腰痛災害の予防対策

職場における転倒・腰痛災害の予防対策も、全国労働衛生週間の一環です。高齢者の転倒・腰痛災害を予防するリスクアセスメント(危険性・有害性に対するリスクから予防対策を実施すること)やリスク低減対策の実施などを目指します。

 

化学物質による健康障害防止対策

化学物質による健康障害防止対策も対象となります。特定化学物質障害予防規則等の特別規則を遵守し、リスクアセスメントに取り組みます。

 

石綿による健康障害防止対策

石綿による健康障害防止対策も対象となります。建築物等の解体・改修工事における石綿ばく露防止対策の徹底と対策などを行います。

 

実施者が全国労働衛生週間中(10月1日~7日)に実施する事項

ここでは、実施者が全国労働衛生週間中(10月1日~7日)に実施する事項について見ていきましょう。

 

事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視

全国労働衛生週間中は、事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視を行います。改めて危険要因を調べ、改善策を講じる行動が求められます。

 

労働衛生旗の掲揚およびスローガンなどの掲示

労働衛生旗の掲揚およびスローガンなどの掲示も実施します。スローガンを職場全員で共有し、今後も周知するよう努めることが重要です。

 

労働衛生に関する優良職場、功績者などの表彰

労働衛生に関する優良職場、功績者などの表彰も実施します。意欲を喚起し、職場全員がモチベーションを維持できるよう努めることが大切です。

 

有害物の漏えい事故、酸素欠乏症などによる事故など緊急時の災害を想定した実地訓練などの実施

より具体的な実施内容としては、有害物の漏えい事故、酸素欠乏症などによる事故など緊急時の災害を想定した実地訓練なども欠かせません。

実際の事故や災害を想定した実地訓練は、いざというときのパニックを防げます。

 

労働衛生に関する講習会・見学会などの開催、作文・写真・標語などの掲示

さらには、労働衛生に関する講習会・見学会などの開催、作文・写真・標語などの掲示も含まれるでしょう。

講師による説明会を行うだけで、普段の安全教育に対する意識を変えることが可能です。

 

その他労働衛生の意識高揚のための行事などの実施

その他、労働衛生の意識高揚のための行事などを実施することで、より現場の安全に対して自ら考えるようになるのではないでしょうか。

労働者が自ら学ぶ姿勢を持てば、強化週間中だけでなく普段から安全に対して注意深く行動するようになるでしょう。

 

まとめ

今回は全国労働衛生週間とは、令和6年度の概要、準備期間(9月1日~9月30日)に実施する事項、実施者が全国労働衛生週間中(10月1日~7日)に実施する事項について詳しく解説しました。

労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など労働衛生に関する国民の意識を高め、職場の自主的な労働衛生活動を促して労働者の健康を確保することを目的に毎年実施されている強化週間です。

ただ、いきなり現場の安全教育を徹底しようとしても、体制が整っていないとうまくできないこともあるかもしれません。

安全教育センターでは豊富な経験と実績を持つ講師による安全教育を実施しているので、詳しくは一度お問い合わせください。

またこの期間中に安全衛生大会を実施されることも多いようです。安全教育センターにも多くのご依頼を頂いております。